防衛省は宇宙分野での防衛力強化に向けて航空自衛隊内に
「宇宙作戦隊」を発足させることを発表しました。
なぜ防衛省はこの様なチームを発足させたのでしょうか。
調べてみました。
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その目的と概要
宇宙作戦隊の主な任務は、人工衛星の軌道上に飛散し、飛行中の衛星と接触して破損させる恐れのあるスペースデブリと他国の衛星の監視から始め、将来的には宇宙空間での攻撃への対処も想定しています。
人類は今まで明らかになっているだけで、約10000個弱の人工衛星を打ち上げてきました。そのうち265個の衛星を日本が管理しています。打ち上げられた衛星の約4割は寿命を迎えて、回収されたり地球へ落下したりしています。
発足初期の任務は監視業務が主になり、実際の作業はアメリカ軍が行う形で運営されるようです。
目下の課題としては、宇宙空間を使って飛来する可能性のある北朝鮮の弾道ミサイルの監視、だと思われます。また、隣国の中国やロシアも既に宇宙専門部隊を発足させており、それら周辺国を牽制する狙いもあると思われます。
宇宙作戦隊は、航空自衛隊府中基地内に置かれ、使用されるレーダーは山口県の海上自衛隊山陽受信地跡地に建設する予定になっています。
府中基地は航空自衛隊の基地でありながら滑走路は持たず、航空支援集団司令部、航空保安管制群本部、航空気象群本部、航空開発実験集団司令部などが配置されています。
発足当初の隊員人数は20人規模で、その後70~100人程度に拡大する予定です。例としてアメリカの宇宙軍の発足時の隊員数は16000人ですので、比較すると規模が小さく感じられます。
発足した経緯
防衛省はJAXA(宇宙航空研究開発機構)と協力して、2020年5月18日をメドに
宇宙領域を専門とした宇宙部隊「宇宙作戦隊」を航空自衛隊内に新設することを
発表しました。
これはアメリカ軍の創設に伴い、宇宙空間においても日米間の同盟の連携強化を図る目的もあり、アメリカの動きに合わせて当初の計画より2年前倒しで発足させました。
海外にも存在する宇宙部隊(軍)
世界には日本、アメリカの他に宇宙専用部隊、軍を持っている国があります。以下に記していきます。
・アメリカ統合宇宙軍 (アメリカ)
現在宇宙にある軍事衛星の半数を占めるアメリカ。1985年に統合軍として宇宙軍が発足しました。
任務はアメリカの国益にとって必要不可欠な宇宙空間での活動、とりわけ各種衛星の防衛が主になります。
2002年10月の組織の改編を経て、2019年12月に空軍、海軍、陸軍、海兵隊、沿岸警備隊に続いて第6軍としてアメリカ統合宇宙軍が発足しました。初期の隊員数は16000人の予定です。
・ロシア航空宇宙軍 (ロシア)
2001年に大気圏を通過する弾道ミサイルの警戒、対ミサイル防衛、人工衛星の開発・運用を主な任務とするロシア宇宙軍として発足、2015年に空軍と統合されてロシア航空宇宙軍となりました。
宇宙軍とは称していますが、主な機能は空軍としての能力になります。
2016年現在の隊員数は約14万5千人ほどと言われています。
・中国人民解放軍戦略支援部隊 (中国)
2015年12月31日、中国人民解放軍の軍種の1つとして創設されました。
任務の内容は明らかにされていませんが、軍服に着ける腕章に人工衛星らしい軌道のデザインがあることから、人工衛星の管理、電子戦、サイバー戦などではないか、と推測されています。
・インド統合宇宙軍 (インド)
インド統合宇宙軍は、宇宙空間の人工衛星などの資産の保護、偵察といった情報収集、弾道ミサイル迎撃を任務として、インド軍、民間宇宙局、インド宇宙研究機関の3つの組織によって2010年に創設されました。
インドとしては敵対する中国を牽制するねらいもあるのではないか、とも言われています。
・他にフランスが近く上記の軍と同様な目的を持った部隊の創設を発表しています。
まとめ
「宇宙作戦隊」と聞いたときは、最初に昭和年代に制作された特撮映画の様に地球侵略の為に飛来する宇宙人を宇宙空間で迎撃する部隊なのか、と思ってしまいました(笑)
各国の部隊とも宇宙空間の衛星の監視を主な任務に挙げていますが、その裏には自国の軍事技術の向上及び軍需産業の育成も大きな目的であると思います。
日本も同様に成功を続けている民間ロケット事業の更なる技術向上、他国より遅れている航空産業の育成に大きく貢献してくれることを期待したいものです。