現在、世界を震撼させている新型コロナウィルス。
治療薬がないこのウィルスに対して、日本の
大学などの研究グループが、このウィルス
の感染を抑制する能力がある抗体(VHH抗体)を
開発した、と発表しました。
新型コロナウィルス対策への大きな一歩になるかも
しれないVHH抗体いついて取り上げてみます。
Contents
そもそも抗体ってなあに?
抗体とは、免疫グロブリンと呼ばれるたんぱく質から出来ており、
抗原(ウィルス、細菌・カビなどの事で体内の免疫システムが、
体内の異物を認識する時の標的になります)
に他とは異なった形で結びつき、その異物を体内から排出する
分子の事です。
抗体自体には、ウィルス等の抗原を分解する作用はありませんが、
貧食細胞と呼ばれる白血球の一種であるマクロファージ、好中球などを
活性化させて、異物を排除します。
抗体には、大きく分けて
・異物を認識して結合する
・免疫を担う細胞を活性化させて、異物(抗原)を排除する
という2つの働きがあります。
抗体は、抗原の周りを取り囲んで(体内に対する)毒になる部分を
覆い隠します。ウィルスの場合は、細胞にある受容体に結びつく
事が出来なくなるので、ウィルスが細胞に感染する事が出来なくなります。
抗体の作製方法の1つに実験動物を使った方法があります。
これは実験動物に作製したい抗体に対応する抗原を投与し、免疫反応により
体の中で目的とする抗体を作成させます。
その後、採血して目的の抗体が入った血液から血清を分離・精製して目的
の抗体を取り出します。
今回開発されたVHH抗体は、実験動物としてラクダ科動物(アルパカ、等)を
使ったもので、大きさは従来の抗体の1/10、高い安定性を持ち微生物を使った
低コスト生産が可能などの点が注目を集めています。
抗体を使った医薬品はあるの?
抗体を主成分として作られた医薬品は抗体医薬品(バイオ医薬品)と呼ばれ、
分子の量が多いことから高分子薬とも言われます。
抗体の特徴である「特定の抗原だけに特異的に結合し、異物(抗原)を生体内
から排出する」という事を利用して作られています。
他の医薬品と比較して、病気の原因となっている物質をピンポイントで攻撃
する精度が高いため、他の正常な細胞を傷つける危険性も低い、とされています。
まとめ
現在、効果的な対策が無い新型コロナウィルスに対してそのきっかけと
なりうる今回の抗体の開発には大きな期待がかかっています。
一部ではこの抗体の血中半減期が短い、といった問題点を指摘する関係者
もいるようです。ともかく現在、治験が行われている他の薬と共に一刻も早く開発が進められることを期待したいと思います。