テレビ等を見ていると、突然聞き慣れた(?)チャイムの音と共に発表されるのが緊急地震速報です。何度聞いてもあの音でドキッとさせられる方もいるかと思います。
日本ではほぼ当たり前になっている感もありますが何時開発されたのか、その仕組みはどうなっているのか、調べてみました。
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緊急地震速報とは
緊急地震速報を含む地震警報システムとは、地震の初期微動を観測して早い段階で対応をとることにより、被害を最小限に抑えようと開発されたシステムです。
発生前に自信を予測する地震予知と並ぶ地震対策の1つとして、1990年代以降に大きく発達し普及が進んでいます。
日本では1989年に当時の国鉄鉄道技術研究所(今の鉄道総合技術研究所)が開発した地震警報システムである「ユレダス」がありましたが、これは地震による鉄道への被害を最小限に抑える目的で開発されたものであり、一般社会への情報の提供はなされていませんでした。
その中で1995年に発生した阪神淡路大震災が大きな契機となり、直下型地震対策の一環として地震警報システムへの関心が高まり今日の緊急地震速報への開発とつながっていきました。
どのように予測する?
地震が発生すると、震源からは揺れが揺れが波となって地面を伝わっていきます(地震波)。
地震波にはP波(Primary(最初の、という意味で小刻みな縦揺れ。初期微動ともいわれる)とS波(Secondary(2番目の、という意味で大きな横揺れを引き起こす横揺れ。主要動ともいわれる)があります。
(参考までに新幹線の速度を時速280㌔とした時、P波は秒速7000㍍、S波は秒速4000㍍の速さになります)
一方、強い揺れにより被害をもたらすのは、主に後から伝わってくるS波です。
この地震波の伝わる時間の差を利用して、先に伝わるP波を検知した段階で、地震の発生した時刻と地震波の振幅から規模を推定し、所要地点の地震の大きさ(震度)を予測するものです。
緊急地震速報は、地震を予知するものではなく地震が起こってからそのシステムが地震の揺れを計算するものです。
緊急地震速報には、国内にある700箇所弱の気象庁に設置されている地震計・震度計に加え、全国約1000箇所の地震観測網の観測データを利用して運用されています。
場合によっては速報が地震発生に間に合わない場合も
緊急地震速報を発表してから強い揺れが到達するまでの時間は、数秒から長くても数十秒と極めて短く、震源に近いところでは速報が間に合いません。
データの解析や伝達などに一定の時間(数秒程度)がかかるため、震源地が内陸の浅い場所であった場合には震源に近い場所への緊急地震速報は原理的に間に合わせることができません。
また、震源が観測地点より遠方(100㌔以上)だったり、深い場合(深さ100㌔以上)する場合でも震度の予測に大きな誤差が生じる場合があります。
地震の規模を示すマグニチュード大きくなるほど、地震断層面のずれの破壊の開始~終了までの時間が長くなるために規模を高精度で推定するためには大きい地震であればあるほど長い時間が必要であり、またその誤差も大きくなります。
通常の地震では複数の観測点のデータから解析を行っていますが、1つの観測点のみのデータを使用している段階では、観測点での落雷や事故、観測機器の故障などにより誤った緊急地震速報が発表されるケースもあります。
外国にもこのような制度はあるのか
日本と同様に地震が多数発生するアメリカ西部のカリフォルニア・オレゴン・ワシントン州に向けて、米地質調査所(USGS)を中心とするグループにより日本の緊急地震速報に相当する「Shake Alerte]と呼ばれる地震早期警報システムが開発されました。
まだ運用実績も短く、日本の様な開発経験もないことからその正確性は不明ですが、時間の経過とともに改良が進められ、その制度も上がってくるものと思われます。
また、同じく地震が多く発生する日本の隣国である台湾でも、公式な情報として発表はされていないようですが、携帯などに日本と同様に地震速報のメッセージを送信するシステムが稼働しているようです。
まとめ
昔から規模の大小を問わず数多くの地震が毎日発生している日本では、もはや地震が生活の中に溶け込んでいる、言っても過言ではないかも
しれません。
しかしながら、現在でも研究は進められているものの何時、何処でどれ位の規模の地震が発生するのかの予測は非常に困難を極めています。
また、発生してもその規模を抑えることは不可能です。
地震により被る被害を少しでも無くするために速報システムの技術の進歩、ひいては予測システムの開発につながっていければいい、と
思います。