先日、島根県出雲市内の漁港で生きたまま捕獲された深海魚としても有名なダイオウイカ。
今回捕獲されたものは体長がなんと4㍍を超えていて、生きたままで発見されるのは非常に珍しいとのこと。
今回発見されたものは地元の水族館で冷凍保存され、研究材料として活用されることになりました。
体の大きさゆえに発見されるだけで大きな話題になりますが、その生態はどんなものなのでしょうか。
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ダイオウイカは何処にいる?、またその生態は?
ダイオウイカは北アメリカやヨーロッパ付近の大西洋、ハワイ島付近や小笠原諸島等の広い範囲で発見されており、冷たい水を好むため、水深200~3000mの深海に生息していると言われている世界最大級の無脊椎動物です。
体長は最大で18m、体重は1000㎏にも達するイカ類の中では最大のイカです。最近では、ニュージーランドの近海でダイオウイカの子供も捕獲されています。
深海へ潜るマッコウクジラの大好物であるダイオウイカの生態が、ホホジロザメ以上の謎に包まれているのは、生態数の割に自然の状態で観察された例が少ないからだと言われています。
体で一番目立つのは大きな目玉
イカの体で一番目立つのが大きなぎょろりとした目玉です。我々が見慣れている普通のイカでも十分大きいですが、ダイオウイカの目玉はとりわけ特別でなんと直径が25㎝(ほぼバレーボール大)もあります。
この目玉は、前に回転して獲物との距離を判断することができます。
また、深海に対応するために網膜に視細胞がつまっておりクラゲなどの発する僅かな光を感じ取れる(見つけられる)様です。
腕は8本あり、それぞれに2列の吸盤が並んでいます。
餌となる生物を捕獲するための伸縮自在の2本ある触手は折ることができ、それによってより正確に獲物を捕えることができます。
過去の捕獲されたマッコウクジラの皮膚標本から、直径45㎝のダイオウイカのものと思われる吸盤の跡が発見され、これが最大の吸盤の直径だといわれています。またこの職種は生殖器官の役割をも果たしています。
ダイオウイカの寿命は、発見された個体数が少ないため研究者によって意見が分かれ、5年という説もあれば2~3年という学者もいます。
体の大きさの割に寿命が短いと感じられますが、産卵された卵の直径が1ミリであることを考えると、短時間で巨大化していることがわかります。
ちなみに我々にとって一番身近なイカであるスルメイカの寿命は1年です。
ダイオウイカの脳はドーナッツ状の形になっており、緻密な神経がそこから体全体へ走っています。
この脳は不気味なことにドーナッツ状の輪の部分の中に食道が通っていて、飲み込んだ餌が暴れたりすると脳を傷つけてしまう恐れがあります。
先にも書きましたが、ダイオウイカの目はクラゲなどが生物発光と呼ばれる能力により発する光を感じ取ることができます。
クラゲを餌とする生物はダイオウイカの餌でもあります。
敵に追われたクラゲが発する光をダイオウイカが感じ取ることによって、自分の餌を探し出すことができ、またクラゲは敵から自身の身を守ることができます。
まさに「敵の敵は味方」を実践している感じですね。
ダイオウイカの天敵はいるの?食べられることはできるの?
そんなダイオウイカにも天敵がいます。冒頭にも書きましたが世界最大級の肉食獣である四角い頭を持ったマッコウクジラです。
マッコウクジラは頭の中に「脳油」と呼ばれる脂を大量に含んでおり、これにより水深3000mの深海に達することができます。
光の届かない深海でマッコウクジラはある特殊な音を発し、戻ってくる音を聞き分けることで餌を探しています。
餌を見つけたマッコウクジラは、フィンなどを動かさずに滑るような状態でダイオウイカに接近し、近距離から相手の目に向けて強い圧縮音は放ちます。
この衝撃音により、ダイオウイカの脳や神経にダメージを与え、大きな体で鈍い反応しかできなくなります。
(イルカも同じ方法で獲物を捕らえていることが確認されています)
マッコウクジラは、動きの鈍ったダイオウイカの急所である頭の部分に自身の下顎で攻撃を加え、弱ったところで頭から食べているのではないか、と推測されています。
マッコウクジラのお腹の中からダイオウイカが発見されることは間々あり、その食事風景を撮影した写真も存在します。
ダイオウイカの生態数がわからないので断言はできませんが、相当数のダイオウイカがマッコウクジラに食べられているのは事実の様です。
マッコウクジラが大好きなダイオウイカを人間が食することができるのでしょうか?
答えは「×」です。
ダイオウイカは他の深海生物と一緒で、アンモニアの浮力を利用している為に体内に体内に大量の塩化アンモニウムを含み、これは毒ではありませんが
食用にはなりません。
トライした研究者もいたようですが、「苦く、恐ろしい味がした」とのコメントが残っています。
過去に国内の加工業者が重さ130㎏のダイオウイカを10日間かけて重さ6.3㎏の干物に加工しました。
干物にしたことによってアンモニア臭が抜け、「食べられる」そうですが、進んで食べようとは思わない味に仕上がったそうです。
まとめ
発見される回数は多くなってきたものの、生息環境が異なるために生きたまま捕獲できるのはほとんどないダイオウイカ。
海外では水族館で飼育されているところもある様です。
北欧の伝説に出てくる怪物「クラーケン」のモデルにもなったとされるこの生物のより多くの生態が明らかにされる日が待たれるところです。