今回は、イスラエルの現地の人達の日常の生活、特に休日の過ごし方について記してみたいと思います。厳格なユダヤ教徒には非常に大切な日になります。
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シャバット(安息日)とは
イスラエルの1週間は平日が日曜~木曜日、金曜、土曜が週末ということはご存じの方もいらっしゃるかもしれません。
ユダヤ教の暦では1日は日没から始まり、翌日の日没を以って終わります。
その週末の金曜に日没から土曜日の日没までを「シャバット(安息日)」といい、労働をしてはならない期間とされています。
1週間は日曜日から始まる
シャバットは敬虔なユダヤ教徒にとって大切な「聖なる日」となります。
(日本人に当てはめると大げさですが、1週間に1度「お正月」を迎えるような感じかもしれません)。
「安息日」にはタルムードと呼ばれる“教義”に、してはならない数十種類の仕事が挙げられており、一切の「労働」をせず自宅で過ごします。
(教派により、その解釈に大きな差があります)
そのため、金曜日の日中に「安息日」のためのいっさいの準備をしなければならいので忙しくなります。
一切の「労働」をしないため、家の掃除、食事の準備、シャワーを浴び、清潔な洋服に着替えます。
「安息日」には、時間の間違えを犯さないように用心して安息日の用意(ろうそくに点灯など)を行います。
敬虔な男性のユダヤ教徒は、頭に「キッパ」と呼ばれる小さな帽子のようなものを被り(いうかピンなどで付ける)、そうすることで頭上に神が意識し、神に崇敬の念を持つため、と言われています。
様々な色のものがありますが、黒い物の方がより宗教的だとされています。
一切の労働をしない、とは
一切の労働をしない、と記しましたが一体どんなことが「労働」にあたるのでしょうか?
敬虔なユダヤ教徒は、シャバットの期間中は
・車に乗らない
・料理は作らない
・電気器具などを使用しない(スイッチに触れない。スイッチに触れること、ボタンを押すなども「労働」にみなされる)
・ペンを持たない
・お金を使わない、等々の行為をせず、何かいま巷でいわれている「ステイホーム」ではありませんが、その日を自宅過ごします。
極端な例では、外出した際に横断歩道のボタン、またはエレベーターの階数ボタンを押す必要がある場合でも、そのこと自体が「労働」にあてはまるので、
他の人に押してもらう、またはそのような人が現れるまで待つ、といったケースもあります。
お店や交通機関も金曜の日没が近くなると共に店じまいをしたり、運行本数が少なくなっていき、町の中は静かになっていきます。
とはいっても街中が全てそうなるわけではなく、無宗教である人たちなどは普通に働いていますし、インフラやホテルなども通常通リ営業しています。
スポーツやダンスなども禁止されている、と言われていますが「安息日に喜びを与えるものだから」として、野球や水泳などのスポーツを”控え目”という制限付きで許すという解釈もあります。
良い例ではありませんが、戦争中に「安息日」だからと言って相手も休んでくれる訳はありませんから、規定を守らなくても許されます。
ユダヤ教徒の服装
超正統派のユダヤ教徒は服装ですぐにわかります。
男性は、黒い帽子、コート、ズボンとその統一感に思わず圧倒されてしまいます。
また髭を伸ばしている人も多くいますが、その服装やもみあげの長さ等でどの宗派なのかわかるそうです。
女性は、詰まった襟にロングスカート基本です。教義では「髪の毛は男性を魅了する」と考えられているため、既婚女性はスカーフで隠したり、
かつらを被ったりする人もいるそうです。
一般のユダヤ教徒の服装は特に決まっている訳ではなく、一般の服装ですごしていますが頭に「キッパ」を付けているのですぐにわかります。
一部の職場でも、ユダヤ教徒の人達は午後3時位から20分ぐらい仕事を抜け出して、職場内にある礼拝所で礼拝を行います。
現地の人から聞いた話ですが、超正統派のユダヤ教徒の中には、仕事をせずに「シナゴーグへ行って礼拝をする」ことを生業としている(プロのユダヤ教徒ともいうべき?)人達がおり、生活の維持に必要な最低限の補助を国から受けています。
街中でもそれらしき人達を見かけることがあり、服装があまり小綺麗ではなく、住居も路地の奥の方にあります。
一部には彼らが国からの補助で生活していることに不満を持ち、「税金泥棒」として忌み嫌っている人達もいるそうです。
まとめ
日本ではこれほど生活の中に宗教の規律は入り込んでいないために、ご覧になった方の中には、「イスラエル国民はずいぶんと窮屈な生活をしているのだな」と感じるかたもいらっしゃるかもしれません。しかし国外からの移民やユダヤ教徒ではない人達などは、こういった決まりに縛られずに自由な生活を楽しんでいる人達も沢山います。