普段からスマホやテレビゲームなどで目を酷使する機会が多いなか、新型コロナウィルスの影響でオンライン授業や在宅勤務の長期化で目の視力低下を感じる人が増えています。
大都市圏を対象に調べたあるコンタクトレンズ販売店の調査によれば、20~60歳までの男女で眼の不調を訴える人の割合は約6割を超えています。
視力の衰えについてはメガネやコンタクトレンズ、レーシックなどでの矯正を思い浮かべる方も多いと思いますが、トレーニングを行うことにより衰えた視力の改善や予防を行うことができます。
Contents
視力を回復させることはできるのか
近視になるメカニズム
遠くの景色を見たりPCやスマホ、ゲームなどで物を近い距離で見たりするとき、人間の眼球の中にある網膜上で見たもののピントが合うように水晶体(カメラのレンズに相当)の厚みを変化させます。
物を近い距離で見続けると、水晶体の厚みを調整している毛様体筋という筋肉が緊張(収縮)し続けることにより、筋肉疲労を起こして動きが鈍くなります。この状態で遠くを見ても水晶体の厚みが変わらないのでピントが合わない(よく見えない、近視の状態)ことになります。
視力を回復させるには
一般的に近視が固定化(毛様体筋の動きが固定)されてしまうと元の状態に戻すことはなかなか難しいと言われています。なので、メガネやコンタクトレンズ、レーシックなどの外科的矯正を選択するケースが多くなります。(現在、日本のメーカーにより近視を治療するためのメガネが開発中です)
但し、一時的に毛様体筋の固定が起こっている状態(仮性近視)であればその毛様体筋の緊張を解いてやれば視力をもとの状態に戻すことができますし、仮に固定化されている場合でも回復できる可能性はあります。
視力回復の方法
ここではメガネやコンタクトなどの外科的矯正(矯正)を除いた方法について調べてみました:
1、マッサージ
2、毛様体筋を鍛える
マッサージ
・目に蒸したタオルを置く
長い時間(20分程度)PC操作などで目の疲れを感じた際に、目の上に程よく蒸したタオルをのせます。(タオルを水で濡らしてからしっかり絞り、レンジで温めます。500ワット 1分くらいで大丈夫です。そのタオルを2~3分、まぶたの上に置きます。)
こうすることにより、目の血行を良くして目の遠近調整を行う毛様体筋の緊張をほぐします。
これにはリラックス効果もありますので、長時間のPC操作などで目を酷使した時などはこまめに行うようにするといいと思います。
また、手元に蒸したタオルがない場合には手のひらを代用して行うことができます。手のひらの手首のすぐ上(くぼんでいる)の部分を目に軽く押し当てます。温かさは体温なので蒸しタオルより低いですが効果はあります。
・ツボを押す
東洋医学の世界では、身体のツボを押すことで体の機能を改善させるといわれています。目の周りには以下のツボが毛様体筋をほぐす効果があると考えられており、目の疲れを感じたときに押してみてはいかがでしょうか。各ツボを5秒間ずつ抑える×2セット行ってみてください。
ツボの名称 | 効果 |
晴明(せいめい) | 目の充血・目の痛み |
攅竹(さんちく) | 頭痛、目の痛み・腫れ |
魚腰(ぎょよう) | 目の充血、眼瞼下垂やまぶたのひきつり |
糸竹空(しちくくう) | 頭痛、めまい、まぶたのけいれん |
太陽(たいよう) | 目の疲れ、頭痛や片頭痛、老眼 |
瞳子髎(どうしりょう) | 目の疲れや充血、まぶたのけいれん、頭痛 |
承泣(しょうきゅう) | 目の充血、白内障や緑内障 |
晴明(せいめい) - 目頭と鼻の骨との間にあるくぼみで、目が疲れた時に親指と人差し指でつまみたくなるところ。
攅竹(さんちく) - 眉頭の少し下にある骨際のツボ。「晴明」から上に上がったあたりの小さなくぼみ。親指の腹で下から上に押し上げるように刺激するとGoodです。
魚腰(ぎょよう) - 眉毛の真ん中のやや下、眉毛と眼球の間の凹み。上に向けて押すのが効果的です。また小さな円を描くように刺激して眉毛の周りの筋肉をゆるめます。
糸竹空(しちくくう) - 眉毛を眉尻にたどっていき、骨外側にあるくぼみの辺り。親指で左右同時に斜め上に向かって刺激します。
太陽(たいよう)- 眉尻と目じりをつなぐ線の中央から外側にたどっていき、くぼんでいるところのツボ、いわゆるこめかみ、のことです。親指で左右同時に外側に向かって刺激します。
瞳子(どうしりょう) - 目じりから指一本分ほどの外側の骨のくぼんだところのツボ。太陽の少し内側にあります。
承泣(しょうきゅう) - まっすぐ前を見た時の瞳孔から真下に下がったところの骨際にある小さなくぼみ。ほほ全体を押さえるようにして中指が薬指で力を入れ過ぎずに下に向かって優しく押します。
毛様体筋を鍛える
「20-20-20ルール」
遠方の景色と近距離を交互に見ることを繰り返すことで眼球の調整筋である毛様体筋の緊張をほぐして視力の回復や低下を防止するものです。
これなアメリカの大学教授が勧めている方法で、PCの操作などの近距離での作業を行っている際にその作業の「20分ごと」に「20フィート(約6m)先」を「20秒」見る方法です。
また、これに近い方法として、自分の顔の前30~40㎝のところに親指を立ててそこに焦点を合わせ、数秒間続けたのちに今度はその背景(できるだけ遠く)にあるものに焦点を合わせ数秒間みつめます。これを繰り返し行います。合わせて普段からまばたきを意識的に多くすることで目の乾燥(ドライアイ)防止にも効果があります。
これを実際に行ってみると、目の疲れを感じることもありますがそれはまた効果がある、ということを実感できるということだと思います。だからと言って一度に多くの回数を行おうとすると逆に目の負担になりますので、複数回に分けて行うことをお勧めします。
ステレオグラム(立体視)
これはある処理を施した平面の画像を寄り目のの状態で見つめていると、突然その画像の中にある文字や模様が浮かび上がって見えてきます。これは疑似的に遠くを見る状態と同じになるので、こうした画像を見ることで目の調整筋を鍛えることができる、と言われています。
具体的な画像をご覧になりたい方はこちらのサイトや「立体視 画像」などで検索をかけてみて下さい。また、これらの画像をスマホやPCで見ることができるアプリもリリースされています。視力悪化の原因ともいわれているデジタルデバイスを見ることで視力回復ができる、というのも不思議な感じがしますが興味のある方は試してみてはいかがでしょうか。
一部では、立体視を見るだけでは目の調整筋を鍛える効果は医学的には根拠がなく、脳の物体を立体的に見る力を鍛えるだけのものという意見もあり、賛否が分かれるところです。
まとめ
日頃から当たり前のように目を酷使している生活を送っている中で、メガネやコンタクトを使うようになって生活に不便を感じるようになって視力の大事さに気づかされる、という方もいらっしゃるかと思います。一度悪くなってしまった視力の回復には時間がかかり、またその効果も確実、というわけではありません。そうならないためにも普段から意識して積極的に目のケアもおこなっていきたいですね。